「高度プロフェッショナル労働制」について

「高度プロフェッショナル労働制」-またまた意味不明な官僚言葉が新聞を賑わしていますね。厚生労働省のWebページを拝見するに、金融機関の方を対象にしているみたいです。当職も金融機関での経験があり、表現の仕方は個人ごとに異なると思いますが、そもそも自分は「プロフェッショナル」と自身にプライドというか執念を持って働いていない方っているのでしょうか。皆さんそれなりに自負があると個人的には信じています。

当社の候補者について言うと、総合職・一般職にかかわらず、また、日系・外資系にかかわらず、常にその意識の高さと経験の深さに感服することが多いです。金銭的なことや時間的なことばかりを気にしている方は、ほぼいません。それだけを気にしていては、自身の仕事を達成することはできないからなのだと思料しています。

実態は、既にここで言う「高度プロフェッショナル労働制」的な働き方がプラクティスとして存在し、法令や制度が後から追ってきたということなのでしょうかね。いずれにせよ、制度をこじらせて、いや、議論している間にイタリア国債が急落して、CDS5年物が一時276bpに上昇した状況でMake Moneyしている金融プロフェッショナルの方々=われわれの潜在的候補者がいるわけです。また、制度を悪用されるとか、何時間働いても時間外手当が払われない等、ネガティブ面が報道されていますが、プロフェッショナルな候補者皆さんは、ブラックな職場であれば辞めて他社に行くか、独立してしまうのが実情です。当社クライアント企業含む、金融機関においてそれらの専門職ポジションは人材不足に悩まされていることが多く、そのために当社のような職業紹介事業者が存在している気がします。

そして、官僚の皆様が「国民のために」上から目線で制度を作るのは、総論としてはポジティブな効果があるのでしょうが、少子化が進むこの国で誰が今後、法令を状況に応じてメンテナンスするのでしょうかね。AIが自動的に法令改正、もしくは、外国人労働者が法令改正するのでしょうか?大枠というか包括的な仕組みづくりがあれば、自分の首を絞める細かい条項を制定するのはどうなのかなあと個人的には思ってしまいます。

ご参考までに以下、厚生労働省による今後の労働時間法制等の在り方について(報告書骨子案)2015.1.15より抜粋。よくまあ、ここまで細かく規定したものですね・・・。

いろいろ考えさせられながら本日も淡々と職業紹介事業に従事しております。

 

特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設

時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、その意欲や能力を十分に発揮できるようにするため、一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者を対象として、長時間労働を防止するための措置を講じつつ、時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した新たな労働時間制度の選択肢として、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)を設けることが適当。

(1) 対象業務

・ 「高度の専門的知識等を要する」や「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」といった対象業務とするに適切な性質をみたすものとし、具体的には省令で規定することが適当。

・ 具体的には、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)、コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)、研究開発業務等を念頭に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当。

(2) 対象労働者

・ まず、使用者との間の書面による合意に基づき職務の範囲が明確に定められ、その職務の範囲内で労働する労働者であることが適当。

・ また、対象労働者の年収について、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の●倍を相当程度上回る」といったこととした上で、具体的な年収額については、労働基準法第 14 条に基づく告示の内容(1075 万円)を参考に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当。

・ 労使委員会において対象労働者を決議するに当たっては、本制度の対象となることによって賃金が減らないことを十分に考慮するよう、法定指針に明記することが適当。

(3) 健康管理時間、長時間労働防止措置(選択的措置)、面接指導の強化等

・ 本制度の適用労働者については、割増賃金支払の基礎としての労働時間を把握する必要はないが、その健康確保の観点から、使用者は、健康管理時間(省令で定めるところにより「事業場内に所在していた時間」と「事業場外で業務に従事した場合における労働時間」との合計)を把握した上で、これに基づく長時間労働防止措置や健康・福祉確保措置を講じることとすることが適当。

・ なお、健康管理時間の把握方法については、労働基準法に基づく省令や指針において、客観的な方法(タイムカードやパソコンの起動時間等)によることを原則とし、事業場外で労働する場合に限って自己申告を認める旨を規定することが適当。

・ 長時間労働防止措置について、具体的には、制度の導入に際しての要件として、例えば以下のような措置を労使委員会における5分の4以上の多数の決議で定めるところにより講じることとすることが適当。

① 労働者に 24 時間について継続した一定の時間以上の休息時間を与えるものとすること。なお、この「一定の時間」については、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当。

② 健康管理時間が1か月について一定の時間を超えないこととすること。なお、この「一定の時間」については、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で規定することが適当。

③ 4週間を通じ4日以上かつ1年間を通じ 104 日以上の休日を与えることとすること。

・ 本制度の適用労働者であって、その健康管理時間が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、医師による面接指導の実施を法律上義務付けることが適当。

・ 具体的には、労働安全衛生法に上記の趣旨を規定した上で、労働安全衛生規則において、健康管理時間について、1週間当たり 40 時間を超えた場合のその超えた時間が1月当たり 100 時間を超えた労働者について、一律に面接指導の対象とする旨を規定することが適当。

・ なお、本制度の適用労働者に対する面接指導の確実な履行を確保する観点から、上記の義務違反に対しては罰則を付すことが適当。

・ また、本制度の適用労働者に対し、面接指導の結果を踏まえた健康を保持するために必要な事後措置の実施を法律上義務付けることや、上記の時間が1月当たり100時間以下の労働者であっても、その申出があれば面接指導を実施するよう努めなければならないものとすることが適当。

 

(4) 対象労働者の同意

・ 制度の導入に際しての要件として、法律上、対象労働者の範囲に属する労働者ごとに、職務記述書等に署名する形で職務の内容及び制度適用についての同意を得なければならないこととし、これにより、希望しない労働者に制度が適用されないようにすることが適当。

(5) 労使委員会決議

・ 制度の導入に際しての要件として、労使委員会を設置し、以下の事項を5分の4以上の多数により決議し、行政官庁に届け出なければならないこととすることが適当(一部再掲)。

① 対象業務の範囲

② 対象労働者の範囲

③ 対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間を使用者が把握すること及びその把握方法

④ 長時間労働防止措置の実施

⑤ 健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置

⑥ 苦情処理措置の実施

⑦ 対象労働者の不同意に対する不利益取扱の禁止

(6) 制度の履行確保

・ 対象労働者の適切な労働条件の確保を図るため、厚生労働大臣が指針を定める旨を法定することが適当。

・ 届出を行った使用者は長時間労働防止措置及び健康・福祉確保措置の実施状況を6か月後に報告し、その後は健康・福祉確保措置の実施状況に関する書類の保存を義務付けることが適当。

(7) 年少者への適用

・ 本制度は年少者には適用しないこととすることが適当。

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